平成26年05月27日 文教科学委員会
○橋本聖子君 ありがとうございます。自民党の橋本聖子でございます。石井先生に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
先ほど石井先生の方からもお話ありました、平成二十三年十月に発生した大津市におけるいじめの事件において、こういった大津市教育委員会の対応についての不徹底な事実解明、あるいは主体性の欠如、隠蔽体質といった批判が高まって今回の現行の教育行政システムを抜本的に変えなければいけないという動きの機運が高まったと改めて認識をしているところであります。現在の地方教育行政に対して、権限と責任の所在が不明確であるということ、そして地域住民の意向を十分に反映していない、また教育委員会の審議等が形骸化している迅速さ、機動性に欠ける、こういった問題点が指摘されておりまして、あらゆる面においてのこういったことを念頭に置いて、自民党における教育再生実行本部、あるいは政府における教育再生実行会議、中教審の教育制度分科会、また与党内での議論が重ねられてきました。
本当に、この国の教育行政制度改革というのは、戦後の日本の教育行政制度の大きな転換になるということ、六十年ぶりということであります。今後の日本を考えていく中で、まさにこの教育システムの改革ということがこれからの日本をしっかりとつかさどる国家百年の計そのものにつながっていくという大事な教育改革だと思っております。こういったことをつくり上げてきて、最後この舞台に上げていただくことに御尽力いただいた皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思っております。
質問に入らせていただきますが、まず、これを議論していく中で、一番最初にいろいろな意味で懸念材料になっていたのが、政治的中立性ということではないかと思っております。
地方分権が進展していく中で、選挙によって支持された民意を代表する首長が教育行政においてもリーダーシップを発揮するということが期待をされている一方で、本当に大丈夫なのかというような心配も同時に明確になっているわけでありますけれども、仮に首長が暴走した場合にどうなってしまうのかといったようなのが一番の、こういった中教審の答申ですとか教育再生実行会議の第二次提言に対しての心配事であったと思っておりますけれども、当文教科学委員会において教育委員会に関する議論を始めるに当たりまして、改めてでありますけれども、教育委員会制度の趣旨とされてきた継続性そして安定性の確保、地域住民の意向の反映についても説明をしていただければと思います。何よりも、教育においての確保すべき政治的中立性というものは何かということも踏まえながら、お話をお聞かせいただきたいとに思います。
また、もう一点、あわせて、教育委員会を引き続き執行機関として位置付けたということに対しても加えて御説明をまず最初にお願いしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 教育の政治的中立性とは、多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に一党一派に偏した政治的主義主張が持ち込まれてはならないことを意味するものであり、また、継続性、安定性の確保とは、教育は中長期的な計画の下に一貫して行必要があるということであります。このため、首長一人の判断によって教育内容等が大きく左右されることがないよう、合議体によって判断する必要があるということであります。地域住民の意向の反映とは、教育が住民の日常生活に関係の深い地域的活動であることから、教育行政を専門家の判断のみに任せるのではなくて、幅広い地域住民の意向を十分に反映できる仕組みとする必要があるということであります。
今回の改正案は、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化を図るものでありますが、教育委員会を執行機関として残し、現行の教育委員会の職務権限を変更しないということによりまして、教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保を図るとともに、より多様な民意を反映するものとなっているというふうに考えております。
○橋本聖子君 これまでの制度については、非常勤の教育委員の合議体である、今大臣からお話しいただきましたけれども、教育委員会が常勤の教育長を指揮監督することの困難性、非常勤の教育委員長と常勤の教育長のどちらが責任者であるかが分かりにくいという責任の所在の不明確さということに指摘がなされてきたと思います。
改正案では、首長が議会の同意を得て直接新教育長の任命、罷免を行うこと、教育委員長と教育長を一本化した新たな責任者として常勤の教育長が教育委員会の会務を総理し、そして教育委員会を代表することが規定をされております。
非常勤の教育委員長では責任がない、あるいは迅速な対応が困難といった批判が今までなされてきたわけですけれども、一方で、地方公共団体に置かれるほかの行政委員会、例えば公安委員会あるいは収用委員会、そして農業委員会等々あるわけでありますけれども、別途の定めがない場合は原則としてこれらの委員会は非常勤であるわけなのですが、この行政委員会との比較において、教育委員会が今までなぜとりわけ責任の所在が不明確などの批判を受けるように至ったかという経緯、これを大臣にとってどのように認識されているか、お聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(西川京子君) 特に大津市においてのいじめ事件、これがきっかけでございますので、このときの経緯を御報告させていただきますと、会議が速やかに招集されなかった、教育委員会による責任ある迅速で的確な対応がなされなかった、あるいは教育長と教育委員長のどちらが責任者であるかということが分かりにくかったと、こういうことが非常に指摘されたわけでございまして、今回の教育委員会制度の改革の発端になったということはこういうことが大きな要因であった、原因であったということは事実だったと思います。
今回、そういうことに鑑みまして、皆様の御意見をたくさん頂戴しながら、責任体制をまず明確化しようということで教育長と教育委員長が一本化した、その一本化した新教育長を置くということによりまして、責任の所在が不明確であったという従来の課題が解消できた、そして教育行政の第一義的な責任者が明確になったと考えております。
また、常勤の教育長が会議の主宰者となることによりまして、迅速性というんでしょうか、会議の招集や議題を適切に判断すること、速やかに対応できること、そしてやはり教育委員の皆様に適切な情報の提供ができる、そういうことも含めまして教育委員会の活性化につながったと、そういうふうに思っております。
○橋本聖子君 ありがとうございます。
より立場を明確化、責任を持った立場にするということが今までの改革の一歩になるということを思いますので、是非そのことをよろしくお願いしたいと思います。
新教育長の任命及び罷免については議会の同意を得て首長が直接行うということになりますけれども、このうち任命については現状と変わりないということでよろしいですか。違いがあるとするとどう違うのか、教えていただきたいと思います。
例えば、学力テストの成績が悪いことを理由として首長が罷免をするといった、これは恣意的な問題かと思いますけれども、そういうことができないということで理解をしていいかということも併せて聞きたいと思います。
○政府参考人(前川喜平君) 現行の教育長は、首長により議会の同意を得て教育委員としてまず任命され、その後に教育委員の中から教育委員会が任命するという仕組みになっております。これに対しまして新たな教育長は、首長により議会の同意を得て直接教育長として任命されるわけでございます。このことによりまして、首長の教育長に対する任命責任が明確化されるものと考えております。
罷免につきましては、現行の教育委員と同様、首長は、教育長が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合、また職務上の義務違反その他教育長たるに適しない非行があると認める場合に、地方公共団体の議会の同意を得て罷免することができるとしているところでございます。
この新教育長につきましては、罷免要件は教育委員と同じ書きぶりでございますけれども、新教育長が常勤の職であり他の委員と比べて幅広い職務を担当するということになりますことから、その負っている職責に応じまして職務上の義務違反と判断される場合は様々なケースが出てくると考えております。
実際に罷免するかどうかは、義務違反の態様やその程度等、諸般の状況を総合的に勘案して適切に判断すべきものと考えておりますけれども、単に目標とした成果が上がらなかった、あるいは学力調査で十分な成績が上がらなかったというようなことによりまして罷免ができるということにはならないわけでございます。
○橋本聖子君 目的を達成することができなかった、その目標に著しく到達する達成度が低かったということに関しては、やはり徹底した一方で責任というものも問われなければいけないのだろうと思いますが、議会の同意を得てということでの任命ですので、市やあるいはその地域全体がやはりしっかりと教育長を支え、そしてより明確に迅速に、あるいは地域の皆さんの意向を反映するというような、そういう体制づくりでなければいけないのではないかなと改めて感じております。
また、青少年の心身の健全な育成ということについて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックも決定いたしまして、この国がこれからスポーツというものを中心としてどのようなある意味での改革とそして社会貢献度を問われていくのかということについては、国も大きな力を注いでスポーツというものの潜在力を引き上げていただければというふうに思っているところでありますけれども、オリンピックに出場した選手あるいはパラリンピックに出場した選手といった実績のあるアスリートのためのセカンドライフであったりあるいはセカンドキャリアということを考える上においても、その知見を教育に反映させる仕組みとして、教育委員に体育やスポーツの関係者というものを任用していただきたいと思いますけれども、その点について大臣としてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 教育委員の資格要件につきましては、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するものとされておりますが、この中には体育、スポーツ関係者も含まれております。
具体的にどのような者を教育委員に任命するかは、それは地方公共団体の判断でありますが、体育、スポーツ関係者を任命することも体育、スポーツの振興にとって有効であると考えており、その旨を各種会議等を通じて周知してまいりたいと思います。
○橋本聖子君 現在、教育委員会は、都道府県そして市町村等を合わせて千八百以上存在しておりますけれども、スポーツ関係者の任用というのは、調べてみますと決して多くはないということでありました。逆に、これは当然いいことでありますけれども、芸術、文化的な活動の方の方が極めて各自治体にとっては多い任用でした。
例えば、毎年文科省が行っている教育委員会の実態調査の際に、保護者だけではなく、スポーツ関係者の任用がどうなっているのかというか、そういうようなことも明らかにしていくということの体制も取っていただければと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(前川喜平君) 教育委員会の実態調査におきまして、御指摘のとおり、現在はスポーツ関係者の任用状況についての項目は設けていないところでございますけれども、御指摘を踏まえまして、スポーツ関係者についての項目を設けることを検討してまいりたいと考えております。
○橋本聖子君 少しちょっと地元の話をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど石井理事からは秋田県内の教育についてお話ありましたが、私の地元は北海道なのですけれども、ソチのオリンピックでも大変活躍をした選手たちを輩出した第一の都道府県が北海道で、やはりどちらかというと冬のスポーツの方が力を、全体に力を入れていてもどうしても冬のスポーツのメッカだと見られると思うんです。
北海道では氷都と呼ばれるところが多くあるんです。氷都というのは氷の都と書かれるわけですけれども、私の地元の苫小牧も氷都苫小牧市と言われます。また、帯広も氷都、この十勝圏内は極めてスケートのオリンピックメダル率が高いというところですけれども、また釧路も氷都釧路というふうなことで、氷の都として、そして大自然の中の氷とともに地域が活性化をされていく、そして子供たちの健全な育成のために寄与していこうということで、寒い場所ならではの視点から、教育に、そういった部分において寒さや氷というものの厳しさを体験させることによって人としてやはりしっかりとしたしんの強い子供たちになってもらおうというその一環で、氷都は氷というものをひとつ活用しながら教育をしてきているという場所であるんです。
そこはやはり氷都ならではの取組だと思うんですけれども、これは首長さんの裁量によって、教育委員会ですとかあるいはスポーツ財団といったところに対して元アスリートあるいは現役のアスリート、スケートの選手等を採用していただきまして、直接地域の子供たちに触れ合い、そしてジュニアあるいはシニアになる前の一貫指導システムを任せることができるシステムづくりをしていたり、そういった意味においては、人材のしっかりとした循環型を地域で図っています。
そういうふうにして、首長と教育委員会、そして地域のスポーツ団体とが一体となってその町のすばらしさをより子供の人間力を豊かにするために活用しているという、こういった人材の雇用、配置というのを、既に首長の裁量でやられている地域が幾つかありますので、そういった地域を、大臣、いろいろな場所で見ていただいていることが多いかと思いますが、そういうふうな取組がよりもっとしやすくなるような形の教育委員会制度というのも考えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のとおりだと思いまして、ちょっと名前を言うのは差し障りがありますから申し上げませんが、先週土日、あるところに行ったとき、そこの知事さんとそして市長さんが私のところに来られまして、是非ナショナルトレーニングセンターを我が県、我が市に造ってほしいというお話がありましたが、どういうコンセプトでどういうものを考えているかということではなくて、国が全部お金を出して、場所はいろいろたくさんあるんですと、是非造ってほしいということで、具体性がないんですね。
ですから、そういう意味では、やっぱり地域の中でスポーツ関係の方々が、じゃ自分のところだったらどういう競技スポーツについてどういうコンセプトでどういうナショナルトレセン、といっても、東京にあるナショナルトレセンをあちこちに造るというわけにはいかないわけでありまして、違うコンセプトでその地域に合ったものは何なのかということについてやっぱり専門家の知見を知事やあるいは市長もよく把握をされないと、漠然とただ建物造ってほしいといってもなかなかうまくいくわけではありませんし、そのことによって国がじゃそこに造りましょうというふうには、やっぱり四十七都道府県もあるわけですから、実際難しい話なわけですね。
ですから、これは文部科学省が進めている地域総合スポーツなんかもそうですが、これもそういう専門家のアスリートの知見をどう取り入れながら地域の方々と一緒にやっていくかということは重要なことであるというふうに思いますし、今後、二〇二〇年に向けて、先ほどの石井委員にも申し上げましたが、我が国を是非スポーツ庁、そしてスポーツ立国としていくためには、こういう教育委員会においてもスポーツに知見のある方々に入っていただくということは大変有意義なことであるというふうに思いますし、そういう視点からも、文部科学省の方でこのスポーツ関係者の項目を設けることによって、今後スポーツ関係者の任用状況がどうなっているかということについても併せて促進とともに進めてまいりたいと思います。
○橋本聖子君 ありがとうございます。今大臣の方からある県の知事、市長さんといったお話ありました。
実は、二〇二〇年というものを目標にすることができたことによりまして、これはスポーツ界のみならず、それぞれの自治体、各都道府県でオリンピック・パラリンピック推進室等をつくっていただいて、東京オリンピックということではなくて、日本のおもてなしの文化を集中させて日本が活性化されるような日本オリパラをやろうという動きの中で、各都道府県、そしてまた各省庁を超えてオリンピック対策室を先般おつくりいただいたということでありますけれども、大臣お話しのとおり、どちらかというとまだ日本の体質として、オリンピックが来た、パラリンピックが来た、そうすると、また再度経済的な部分において非常に活性化されるのではないかというような待ちの構えというんですか、何かを期待するということだけの姿勢に非常に多くなっているような現状がとても心配になります。
何かをしてもらえるということではなくて、やはり、うちの県は、うちの市はこれだけのすばらしいメリット、あるいは観光文化や食の文化というもの、そしてスポーツのすばらしさというものを一体となって、そこにはしっかりとしたすばらしい医療が伴うんだ、教育も伴うというような、そういう事前の合宿機能をプレゼンテーションするといったことですとか、やはりそういったのがまだ日本の地域社会においては、あるいは自治体においては非常にある意味でちょっと力不足なところがあるんではないかなと思います。何かをやってもらうということを待つのではなくて、自分たちからすばらしさを引き出していくプレゼンテーションが、二〇二〇年オリパラまでのこの六年間に日本の二〇二〇年以降の姿が懸かっているのではないかなといつも思います。
そういう意味においては、この六年間、子供たちの成長というのは早いわけですから、今からやはり教育委員会、そして自治体あるいは地方のスポーツ団体というものと連携を取って、スポーツというものにおけるやはり地域の文化力ですとかあるいは観光力ですとか、あるいはスポーツビジネスといったものは何なのかというようなことを、総合的にスポーツを通じてその町の力を引き出していくことができるんだということをこれからの若い子供たち、生徒の子供たちにもやはりしっかりと教えていくということが大切ではないかなと考えます。
私たちは今、私たちといっても、オリンピック委員会の今立場でちょっとだけ話をしますと、オリンピック委員会といたしましては、今、オリンピックムーブメント、オリンピックがなぜできたのかというオリンピックの発祥の歴史、平和の祭典であったことのやはりすばらしさを継承していくというのを一つの仕事の柱としてオリンピックムーブメント活動を、全国の子供たちの教室に行って、学校に行って、それぞれオリンピアンを派遣して教育をさせていただくという学校の授業の一こまをいただけるように努力をしているわけですけれども、それに対してもやはり、市であったり、あるいは教育委員会であったり、これはものすごく地域によって温度差があるんです。
そういった温度差があることによって、直接的なやはり子供たちが望む元オリンピアンですとか、そういう尊敬される選手たちと直接出会うチャンスをその自治体の裁量によって逃しているようなところも見られますので、そのことについては是非、大臣として、文科省として、しっかりとした子供の心の部分においての教育、何を子供たちは今求めているのかというような、そういうところの視点に立ってこの教育行政改革、教育委員会制度改革というものをしていくということを是非心に置いていただきたいと思いますので、改めて、ちょっと話がそれましたけれども、オリンピックの活性化も含めてお願いをしたいと思います。
次に、首長と教育委員会との連携ということで改めてまたお話を聞かせていただきたいと思いますけれども、総合教育会議について、設置の趣旨についてというのは石井先生からもお話がありましたけれども、総合教育会議の構成というのは首長と教育委員会とされておりますが、教育長及び教育委員ではなく執行機関である教育委員会としたのはなぜかということと、そしてどういう案件を議題としていくということが主になるのか、具体的にここで教えていただきたいと思います。
○副大臣(西川京子君) 今回の改正におきましては、教育長と教育委員長を一本化した新教育長、これが日常的な事務執行をつかさどるわけですけれども、教育委員会の招集権を有するなど権限が強化されておりますけれども、合議体である教育委員会の意思決定に基づき事務を執行するという立場は変わっておりません。そういうことを考えますと、総合教育会議で首長と教育委員会という、言わば教育長と教育委員ではなくて、執行機関としての教育委員会と執行機関同士の協議及び調整の場ということが総合教育会議の意味でございますので、そういう機関としての教育委員会が構成員となるものであるということの意味で、教育長と教育委員ではなくて教育委員会と首長ということに整理しております。
また、総合教育会議では、具体的に申し上げますと、大綱の策定、そして教育を行うための諸条件の整備その他地域の実情に応じた教育、学術及び文化の振興を図るため重点的に講ずべき教育施策、児童生徒等の生命又は身体に現に被害が生じ、又はまさに被害が生じるおそれがあると見込まれる場合、今回これが改正の目玉でありますが、見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置、こういうことについて協議、調整をしていただきたいと思っております。
○橋本聖子君 仮に、教育委員会側の反対を押し切って策定された場合というのはどのようになりますか、仮にですが。仮にということですけれども。
○国務大臣(下村博文君) 改正案におきましては、首長が教育委員会と協議して大綱を定めることとされているわけであります。大綱を定めるに当たっては、首長と教育委員会との間でぎりぎりまで協議し、調整を行うこととなりますが、調整が付かない場合でありましても、大綱は首長が定めるものと規定されていることから、首長が策定権者として大綱を定めることができるものであります。
大綱は、首長と教育委員会とが協議し、調整を経たものは尊重義務が生じることとされているため、教育委員会及び教育長には大綱に沿った教育行政運営が期待をされます。しかし、教育委員会と首長との間で調整が付かなかった場合におきましては尊重義務ということはなく、権限を持つ教育委員会が執行しない事項を記載するということ自体が意味がないということになりますので、こうしたことがないように十分な協議、調整をすることによって、なおかつ、一体的な自治体でありますから、この協議、調整については十分対応していただいて大綱を作っていただきたいと期待をしております。
○橋本聖子君 大臣も期待されているということで、もう本当にここの部分においては重要なポイントだというふうに思いますので、是非指導をお願いをしたいというふうに思います。
大津のいじめ事件を契機として昨年成立したいじめ対策推進法、この法律が施行をした後も大変残念ないじめによる子供たちの自殺ではないかというような問題が発覚をいたしまして、大変胸が締め付けられるような思いでありますけれども、学校、そして市教育委員会、またそういったところで不徹底な事実解明、また主体性の欠如、隠蔽体質、こういった今までの批判が、また法律が制定され施行された後もこのような事件が各地で起こっているということ、これに対して文科省といたしましては、この法律によって抑止、根絶に向けてどのようにしていくことがより重要なのかということと、今回のこの教育長のやはり任命によって、改革によって、こういったいじめ問題についてよりしっかりとした明確な役割というものが果たしていけるのかどうかというものを是非また御説明いただきたいと思います。
○副大臣(西川京子君) 実は現行法五十条でも、平成十九年改正において、いじめによる自殺等の事案において教育委員会の対応が不適切な場合に、文部科学大臣が教育委員会に対して是正の指示ができるというふうに設けられた規定でございます。しかし、実際には、この是正の指示というのは大変強い権限でございますので、平成十九年以来一度も発動されていないんですね。
そういう中で、大津市におけるいじめによる自殺事案の際に、児童生徒等の生命又は身体の保護のためという要件について、これはこういう書きぶりですと、実は当該児童が、生徒が自殺してしまった後の再発防止のためには発動できないという解釈になってしまいました。
そういうことに、この問題を解決するという意味で、現行法においては、指示ができるという解釈も可能ですが、それはやはり今までは地方自治制度の中で非常に強い国の関与になるということで実際には発動されてこなかったということで、今回はこれを、解釈が曖昧なまま発動することは困難であるために、事件発生後においても、同種の事件の再発防止のために、指示ができることを明確にするということが今回の法改正の言わば目玉であるというふうに思っております。
○橋本聖子君 ありがとうございます。是非、そこの部分については強くお願いをしたいと思います。
隠蔽体質や村社会を打破するということにおいては、教育委員会の事務局の人材育成というものが大事だと思いますけれども、首長部局と人事交流などをして専門性を備えた行政職員を育成するということが必要ではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
それと同時に、やはり責任と権限が集中をした結果、的確で迅速な執行が求められているというのがこれから同時に求められることでありますけれども、事務局の機能の柱となるのがこの教育専門職の指導主事だと思います。この指導主事の育成というものも同時に必要だと思いますけれども、現状では指導主事の人数が少ない、あるいはその能力に非常にばらつきがあると指摘されておりますが、この二点について最後に大臣からお聞かせいただきたいと思います。副大臣、お願いします。
○副大臣(西川京子君) 教育長や教育委員会を支える事務職員の資質の向上、これは今回の教育委員会改正においても非常に大事なポイントだと思っております。
教育行政の専門性を有する行政職員の計画的な育成が大変重要でございまして、一般行政部局との人事交流も含めて適切な人材育成が望まれるわけですが、それと一緒に、やはり教育行政というのは特殊でございますから、教育行政を一貫してやってきて育てるということもまた重要なことだと思います。そういう意味で、国において現在様々な研修を実施しているところでございますが、各県の教育委員会とも意見交換をさせながら十分充実してまいりたいと思います。
そして、人選あるいはその人数の配置の問題ですが、平成二十三年度地方教育行政調査によりますと、平成二十三年五月一日現在で、教育委員会事務局の職員数が十人以下の市町村が四百九十三あります。そして、指導主事が置かれていない市町村が六百二十五あります。非常にそういう意味では半数近くが事務体制が脆弱であるということがございますので、学校指導なども含めてこれからしっかりと対応してまいらなければいけないんですが、今年度の地方財政措置におきまして、都道府県教育委員会における指導主事の地方交付税措置におきまして六名分を、各県ごとにですね、六名分を増員したということで、これ標準規模を対象にしておりますが、十五人を二十一人に増やしました。これで県の方から脆弱な市町村にある程度派遣しながら調整を図っていただきたいということを考えておりまして、市町村教育委員会の学校指導体制の充実ということは文科省としても非常に大切なこととして一層の対応をしてまいりたいと思っております。
○橋本聖子君 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。